令和2年2月十三会例会

●例 会 内 容

  日 時:2020年2月13日(木)PM7:30 【会 場:コルテーヌ7F】


●講 演

 『これからの鹿児島

●講 師
 塩田 康一 氏(元九州経済産業局長)
【プロフィール】
 1965年10月生まれ。鹿児島市出身。ラ・サール中、高から東京大法学部卒。旧通産省に入省。熊本国税局人吉税務署長、イタリア日本国大使館一等書記官、内閣府地方創生推進室次長などをへて18年から九州経済産業局長。昨年、退職し、今年7月の鹿児島県知事選に立候補。


講 演 内 容

  加治新会長が就任して最初の例会は、7月の県知事選に立候補を表明した塩田先生に講演いただきました。ご自身の経歴から、県知事としてどういうことをしていきたいかなどをお話しされ、会員からも積極的に質問が相次ぎ、関心の高さが伺えました。

 生まれは鹿児島市ですが、父の転勤の関係で幼稚園から小学校に上がるまで徳之島に住んでいたことがあります。3年ほどの短い時間でしたが、少年時代の原風景に浮かぶのは徳之島です。台風で船や航空機が欠航し、物資が不足することもよくありました。親はそれなりに苦労したと思うのですが、子供心には暗闇でバーベキューをしているようなワクワク感もありました。今でも奄美とのつながりは深いものがあります。

 中学、高校はラ・サールで、草牟田から谷山まで自転車で通っていました。部活動はしていませんでしたが、応援団の活動をしていました。大学からは東京。卒業後は旧通産省に入省し、国家公務員の道を歩みました。大蔵省や自治省などにも出向しましたが、私がいる部署は中心市街地の活性化にいかに取り組むかなど、今の地方創生につながるような仕事が多かったような気がします。仕事場は東京など鹿児島から離れた場所がほとんどでしたが、県人会に入っていたので、鹿児島とのつながりは定期的に持っていて、外から鹿児島のことを考える機会も多かったです。

 前職が九州経済産業局長だったこともあって、九州全体について考えることも多かったです。九州全体の人口は全国の約1割です。九州の中で盛んな産業は北九州に代表されるような自動車や半導体などです。全国の2、3割を占めています。あとは農林水産業、畜産業も盛んで、全国の約25%を占めています。


 これからの鹿児島を考えると、このままでは厳しいという危機感があり、新しい産業を興して鹿児島をもっと豊かで元気にしたいという想いから県知事選に立候補しました。

 例えば和牛は鹿児島を代表する特産物ですが、きちんとした「鹿児島ブランド」が確立されていません。畜産農家の皆さんが丹精込めて高品質の牛を育てても、他県の牛のブランドで売られることも多いです。お茶も同様のことがいえます。鹿児島に大きなお金が入るような付加価値を生む鹿児島ブランド作りが必要です。

 観光業もこれからの鹿児島を考える上でも大事な産業です。これは鹿児島単独で考えるよりも九州全体を考えていく必要があります。例えば日本人がイタリアのシチリア島に旅行を考えても、その中の都市に単独で行くのではなく「シチリア島」全体の中からピックアップして企画するでしょう。同じように海外からやってくる訪日客に鹿児島単独の訪問を訴えてもインパクトは弱く、航空路線を開拓するのは容易ではありません。九州全体で世界にPRしていく必要があります。

 江戸末期から明治初期にかけて、島津斉彬の集成館事業で薩摩藩は当時、東洋でも有数の近代工業地帯が出来上がったように、鹿児島にはものづくりの伝統があります。第4次産業革命といわれる現在、その伝統を生かさない手はありません。若さ、行動力、エネルギー、何より郷土・鹿児島を愛する気持ちは誰にも負けません。これまでの経験で培った幅広い人脈を生かし故郷・鹿児島と日本の発展のために一身を捧げたいです。+