平成30年4月十三会例会

●例 会 内 容

  日 時:2018年4月13日(金)PM7:30 【会 場:歯科医師会館 第2研修室】

●演題&講師

 「県融資制度について」
    有村 智子氏(県商工労働水産部経営金融課金融係長)

 「経営革新制度について」
    若松 秀和氏(県商工労働水産部経営金融課経営支援係)

 
 
   

講 演 内 容

今回は鹿児島県が実施している「県政出前セミナー」を活用し、県商工労働水産部から有村先生、若松先生に来ていただきました。

「県融資制度について」
 鹿児島県融資制度とは、県が定めた融資条件(利率、融資限度額、要件など)のもと、
 金融機関と保証機関が協力し、中小企業への融資を行う制度です。
 信用力、担保力に乏しい中小企業の経営の合理化や安定強化に必要な資金を融資することにより
 本県中小企業の健全な振興発展を図ることを目的としています。
 県の融資制度には11の資金体系があります。通常の事業資金を支援する「汎用資金」が2つ、
 県の施策実現を支援する「経済活性化支援資金」が5つ、災害、不況などで経営に影響を受けた
 ときの経営安定化を支援する「経営安定化対策資金」が4つです。
 貸付原資は全て金融機関の資金です。保証期間が公的な保証人になることで融資を受けやすくし
 ています。鹿児島県の場合は県信用保証協会及び奄美群島振興開発基金が保証機関になって
 います。
 県融資制度の信用保証率は、保証機関の基本信用保証率より引き下げており、その差となる
 保証料について保証機関へ補助しています。それにより、中小企業者の補償料負担を軽減して
 います。
 具体的にいうと、一般的な協会制度では融資利率が任意で、信用保証料率1.15%を足した数字に
 なりますが、県融資制度では融資利率が2.10%と固定金利で、信用保証率は県補助が0.21%なの
 で0.94%、計3.04%となっています。据え置き期間が6カ月から3年あるのも活用すると、返済の
 弾力化が可能です。
 県融資制度については県のホームページに詳細が出ているので、興味のある中小企業の方は
 是非ご覧になって活用してみてください。

「経営革新制度について」
 鹿児島県では新たな事業活動に積極的にチャレンジする県内中小企業を幅広く支援するため、
 経営革新計画の承認による各種支援策の活用をお勧めしています。
 経営革新とは、新商品の開発・生産、新サービスの開発・提供、新規事業分野への進出など
 新たな取り組みにより経営の向上を図ることです。「経営革新」というと大胆な「レボリューシ
 ョン」を想像される方も多いですが、既成概念を取っ払って「イノベーション」する感覚で
 とらえると取り組みやすいと思います。
 「経営革新制度」とは自社にとっての新たな取り組みを3−5年の計画で作成し、実行する
 ことです。県知事からの承認を受けることにより、その計画達成に向けた取り組みに対して
 低利融資など支援策を利用することができます。
 イノベーションを我々がどう評価については3つの要素があります。
 まずは「新規性」。取り組もうとしている内容は自社にとっての新しい要素が取り入れられて
 いるか。市場も商品も従来のままでは新規性がありません。
 次は「実現可能性」。思いやアイディアが先行し過ぎることなく、実際に実現することが可能
 なのかという点です。
 3番目が「収益性」。収益をあげることができる内容になっているかという点です。
 経営革新計画を作成するメリットとしては第一に、低利融資や補助金などが受けやすくなる
 など金銭的なメリットがあり、経営基盤を強化できます。
 販路開拓コーディネート事業や中小企業総合展への出展、県公報媒体での紹介など様々な
 県の制度を利用できるメリットがあり、注目される企業への成長が見込めます。
 また社員と経営理念・ビジョンの確認や共有を行ったり、目標達成のための一体感を醸成する
 など企業内部のメリットがあり、企業内部への好循環を生み出すことができます。

 経営革新を行う事業について商品と市場の観点からいかに実施していくかを分析してみましょう。
 「既存商品」と「既存市場」、すでに「市場浸透」した分野ですが、意外といい取り組みに
 なっているところが多いです。顧客満足度の向上や効率化など新たな取り組みを入れることで
 大きな成果を上げている企業が多いです。
 「既存商品」と「新市場」、「市場開拓」の場合は自社の商品などが新市場に入れる余地が
 あるのか、事前の分析や、販路を開くための地道な取り組みを計画・実行することなどが
 重要になってきます。新市場開拓の取り組みが十分な企業は少ないのでそこに可能性が
 あると思われます。
 「新商品」と「既存市場」、「商品開発」の場合は衰退市場や低シェア市場で、売り上げが
 伸びない可能性が高いです。ターゲットが変わらないので自社内競合の可能性も出てきます。
 新商品の狙いは、単価か、数量かをイメージして開発しているか、認知度を高めることを
 検討しているかなどの検討が重要になってきます。
 「新商品」と「新市場」、「多角化」は成功の可能性が一番低い分野です。新市場の特徴と
 自社商品の強みを事前に分析し、ニーズに合った商品で勝つ準備をすることが非常に重要に
 なってきます。魅力ある新市場に、ニーズにあった商品を投入できれば、優良事例になる
 可能性もあります。

 これからの経営革新について。マーケティングの4P(商品、価格、流通手段、周知・広報)を
 改めて考えてみましょう。商品の中身はほぼ同じでも、パッケージ、容量、用途が違うと別商品
 になります。消費者が「買いたい」のスイッチを押せるチャンネルごとに商品を開発・製造して
 いける企業が生き残れるということです。そのためには多品種少量生産をこなせるか、現場改善
 に真摯に取り組むかが大事になってきます。楽して経営革新できる道はないのです。