平成30年2月十三会例会

●例 会 内 容

  日 時:2018年2月13日(火)PM7:30 【会 場:歯科医師会館 第2研修室】


●講 演

 『三反園県政の解剖

●講 師
 宝来 良治 氏(県議会議員)
【プロフィール】
1968年10月5日生まれ。鶴丸高校、東京理科大学薬学部卒。東京でMR(製薬企業のプロパー)を10年経験して鹿児島へ帰り、調剤薬局を開店。鹿児島市薬剤師会の理事を7年務め、2015年県議会議員選挙へ初挑戦で初当選。


講 演 内 容

岩川新会長になって最初の例会は、十三会の会員でもある宝来県議に三反園県政についての評価や新年度に向けての取り組みなどについて語っていただきました。2年前の4月例会で講演した三反園知事になってこの2年間どんなことに取り組んできたのか、今後どのような方向に向かっていくのか、有意義な学びの場となりました。

 「政治家は、予算を作り込んで政策を行うのが仕事」とある先輩の政治家から言われたことがあります。鹿児島県の当初予算は8000億円規模で作られていますが、その中で私たち県議会議員が提案して実現した政策についた予算がどのくらいの額かご存知でしょうか? 答えは約200万円です。そのぐらい鹿児島県はお金がありません。県庁や県民交流センターなど、過去に大きな箱モノを作った時などの借金が約1兆990億円残っています。これまで毎年200億円ぐらいずつ返済してだいぶ圧縮はされましたが、これが8000億円ぐらいにならないと、思い切ったことができません。あと10年ぐらいの我慢と先輩から言われています。

 三反園知事のマニュフェストがホームページで公開されていますが、全体的にはよくできていると思います。車座対話を復活させましたが、特に奄美には頻繁に出かけていて機動力があります。これは選挙の際、奄美での票がとれなかったことが大きく影響していると思われます。
 伊藤前知事が完全なトップダウン型で、部下に対して有無を言わせませんでした。優秀なリーダーであり、部下もそこから学ぶというかたちでした。三反園知事の場合はボトムアップ型で、対話や意見を聞くことを重視しています。議会でも事務方と打ち合わせていないでしゃべったことが実現したこともあります。知事は「アイディア」と呼んでいますが、時に「思いつき」ではないかと批判される部分でもあります。子供医療費の病院窓口での無償化が低所得者ついて実現します。完全無償化ではないものの、掲げた政策を一部でも着実に実行できている点は評価できます。
 新年度の当初予算は約8100億円。歳入のうち県税などの自主財源は3割程度で国からの地方交付税が4割ほどを占めます。国などに対する依存度が相変わらず高いのが現状ですが、全国的にも鹿児島と同程度の予算規模の都道府県はだいたい似たような構成になっており、特別視することではないかもしれませんが、県債の削減を急ぐ必要があります。
 伊藤前知事が総務省出身で国や官僚に強いパイプを持っており、国からお金を持ってこられることが強みでした。三反園知事になってそこがなくなるのではないかということが懸念されましたが、昨年度、今年度とこれまでとほぼ同額の交付税が払われているので、知事も独自のパイプを持って活用しているのではないかと言われています。
 一昨年の県知事選では反原発を訴えて当選しながら、公約を果たしていないではないかという点が反原発団体などから批判されています。マニュフェストをよく読むと知事は反原発ではなく、原発の依存度を減らしつつ、風力、地熱など再生可能エネルギーを開発していくなどの方向性を示しています。知事の掲げるエネルギーパーク構想はなかなか魅力的な考え方だと思います。
原発をベースロード電源と位置付ける自民党の政策とかけ離れていたこともあり、県議会とも大きくもめて緊急動議がなされるなど、これまでの県議2年間で一番熱くなった時期がありました。三反園知事が自民党の控室にやってきて「皆さんと考え方は同じですから」と話したことで収束し、現在に至っています。このあたりの原発に対する考え方の評価が次回、県知事選に出る際には問われるものと思われます。

新年度の県が掲げるスローガンは「新しい未来への航海 どんどん前進」となっています。和牛が日本一になり、明治維新150周年、大河ドラマ「西郷どん」の放送、奄美の世界自然遺産登録と鹿児島に良い流れは来ていますが、厳しい財政状況には変わりありません。
お金はありませんが県の予算の中には「ゼロ予算」という項目もあり、お金を使わないで実行する政策というのもあります。こういった政策なども活用しながら焼酎日本一奪還や教育、医療など私自身も公約で掲げることを実現したいと考えております。