平成28年2月十三会例会

●例 会 内 容

  日 時:2016年2月12日(金)PM7:30


●講 演

鹿児島県の解剖

●講 師
寳來 良治 氏(鹿児島県議会議員)
【プロフィール】
1968年10月5日生まれ。鶴丸高校、東京理科大学薬学部卒。東京でMR(製薬企業のプロパー)を10年経験して鹿児島へ帰り、調剤薬局を開店。鹿児島市薬剤師会の理事を7年務め、2015年県議会議員選挙へ初挑戦で初当選。環境厚生委員会、地方創生特別委員会所属


講 演 内 容

「政治と経済に積極的にコミットしよう」を今年のスローガンに掲げた白尾会長になって第1回の例会は、新人県議の寳來先生をお招きして、県政について考えるというまさしくタイムリーな会となりました。

・鹿児島が好きだから…
 大学を卒業して10年県外で仕事をしてから鹿児島に帰ってきました。鹿児島は食べ物も美味しく人情も厚い。県議になろうと思ったのも「鹿児島が好きだから」というのが一番の理由です。
 鹿児島には日本一がたくさんあります。黒牛、黒豚の生産量、焼酎の消費量(生産量は宮崎に抜かれましたが…)、種子島のロケット基地は世界一美しいとさえいわれています。
 14年の農業産出額は4263億円で、全国第3位になりました。県の予算配分をみても、農業関係の額が一番多いです。それだけ鹿児島は農林水産業を中心とした一次産業が多い県ということです。
 立候補して、医療の問題や、今住んでいる中郡、鴨池地域のことや、スポーツ振興など、やりたいことはいろいろありますが、何をおいても「子育て支援」が一番のライフワークです。5人の子供を育てていく中で「こんな制度が行政にあれば、もっと子育てのしやすくなるのでは」と思うことがたくさんありました。
 そんな話をある県職員の方として「実現するのは難しいでしょう?」と問うと、その方は「こうなりたいという青写真を語るのが政治家の仕事。それをどう実現するか考えるのが我々行政の仕事です」と言われて、目の覚める想いでした。県議として私もこれから大いに理想を語っていきたいと思います。

・県のお仕事とは?
 地方自治には県と市町村があります。住民の生活に直接かかわることの大半は市町村が受け持ちます。市役所には「市民課」がありますが、県庁に「県民課」はありません。このあたりが県や県議会の仕事が今一世間の人に分かりづらいと思われているところです。
 県がやるのは広域にかかわることです。各市町村の連絡調整や農業行政など、一市町村では賄いきれない広域行政を県が担当します。
 県議会には51人の議員がいて、うち36人が自民党で最大会派です。何か県政のことで議論するテーマがあれば、県連の中で徹底的に議論します。対立し、もめることも度々あります。しかし議論し尽くして結論が出れば、議会では一枚岩となる。これが自民党鹿児島県連の伝統になっています。

 県の仕事で、一番分かりやすいのは県の予算を決めることです。つい最近、新年度の鹿児島県の当初予算が8224億円と発表されたところです。これらの予算の内訳を決めることや、予算の通り事業が執行されているかをチェックすることなどが県議会の主な仕事です。
 新年度新たに取り組む事業には「大学進学等に対応した新たな奨学金制度」「生活困窮者のための包括的支援事業」「奄美ドクターヘリ導入事業」「TPP対策関連事業」「観光かごしま創生事業」「明治維新150周年に向けた取り組み」などがあります。
 新たな奨学金制度とは、大学進学者900人に対して入学金と1年の前期授業料として80万円を貸与・給付するものです。卒業後に鹿児島で就職すれば入学時奨学金の返済を免除する規定も設けました。都道府県レベルでは全国で初めての制度です。これは優秀な人材を育て、そういった人材が鹿児島に戻ってくるきっかけになるという点でも、画期的な制度です。教育の中で「鹿児島はすごい」と思えるようなものを打ち出していくことで、教育で鹿児島が日本一になれるのではないでしょうか。
 地方創生関連の予算は約300億円です。県議になっていろんな地方を回る機会がありますが、「自分たちで稼いでいかないといけない」と地方がやる気になっているのを感じます。長島町などは今一番元気があります。地方を活性化させるためにも、道路などのインフラ整備が欠かせません。無駄な道路を作る必要はありませんが、必要な基盤を整備することも県の大切な仕事です。
 県内の高校生の約4割が県外に就職していくといわれています。鹿児島で働きたいと思っても働く場がないのが現状です。若者が働きたいと思う場を作っていくことも我々世代がやらなければならない仕事だと考えています。

 鹿児島ユナイテッドFCがJ3に昇格したことで、県もようやくプロスポーツを地域振興に役立てる動きが始まりました。今後は鹿児島市と協議しながら、どう支援を進めていくかがカギになってきます。J2昇格に必要なスタジアムなどのインフラ整備はまだ方向性が定まっていません。単にスポーツのための施設をつくるだけでなく、そこを拠点にした街づくりの核になるようなものを整備する必要があると個人的には考えます。

 高齢化が進む鹿児島県は医療費が全国で2番目に高い県となっています。現在、1万床のベッドを削減し、在宅に切り替えていくことが国の方針として打ち出されていますが、離島、へき地を抱えている鹿児島県の実情としては難しいところです。薬剤師で医療系の議員として何ができるか、今後も医療の問題はライフワークにしていきたいです。

 子育て、地方創生、スポーツ、教育、医療と私自身取り組みたい、様々なテーマがあり、まだまだ勉強しなければなりません。やるからには目立つことをやる。今後も「日本一くらし先進県」の鹿児島を目指して、政治活動に取り組んでいこうと思います。