川内原子力発電所の再稼動阻止そして廃炉を目指した内容を軸とした公約を掲げ、今年の県知事選を戦った向原氏。 当選は叶わなかったものの、20万票を超す支持を集めたことは記憶に新しいところです。 その向原氏をお迎えして原発やこれからのエネルギー政策についてお話いただきました。講演内容は以下をご覧ください。
1.自己紹介
- 原発反対の活動から急に知事選に出馬することに
- はじめてのことばかりで大変だった。手の振り方一つ分かってなくて今も肩が痛い。
- 京都大学で若狭湾でのムラサキツユクサへの影響について知り、それ以来ずっと原発反対。
- Uターンで鹿児島に戻ってきて多くの人が危険性を知らないままであることを知り、反原発活動に深く関わるようになった。
2.福島の事故について
- ずっと訴えてきたことが現実になったのが今回の事故
- 事故発生後も、事故の影響を小さく見せる、福島第一故に発生したので他は大丈夫等の欺瞞に満ちた情報が出されている。
- 様々な放射線に関する基準値が、欧米はもとよりチェルノブイリ事故の影響下であるウクライナと比較しても酷い水準に事故発生後に緩められた。
- パニックを防ぐ、風評被害を防ぐといった大義名分の元に検知された値が基準値以下になるように基準緩和が行われている。
- 測定方法も含めごまかしが横行しているのは明らかで、放射能問題から避難されている方は産地が明らかでない産物は口にしないようにしている。
- 報道もパニックを煽るなということから自粛されており、子どもの甲状腺異常についても報道されることが少ない。
- 事故発生直後、欧米のマスコミでは日々の気象状況から汚染物質拡散の予測範囲が公表されており、東海、四国等も汚染された日があった。
- 津波による電源喪失が事故の原因と発表されているが、地震動の大きさも設計値を上回っていることは明らかである。
- 日本は地震国であり、原発を設置するなどありえないこと。
- その上現在地震激動期に入っておりどこで巨大地震が起こるかわからない。活断層の有無等関係なく危険な状況である。
- 電気が足らなくなるとか、コストがかかるとかは言い訳に過ぎない。
3.川内で何が起きているのか
- 冷却のための温廃水により周囲の海に大きな影響が生じている。
- ウミガメ、サメ、エイ等がたくさん死んでおり、逆に南方の魚が採れたりしている。行政に訴えてもなかなか調査してもらえない。
- 運転停止により温廃水が止まると、回遊性の魚種はすぐに漁獲が回復している。単価が高い魚種が減り、しかたなく他の魚種の漁獲が増えているのだが、行政は増えているから問題ないという結論になる。
- 取水パイプへのフジツボ等の付着を防ぐ目的で塩素が投入されているが、これが魚卵やプランクトンを殺している。生体濃縮もあるので、機械で検知されない濃度でも影響は否定できない。
- 九電が温排水の拡散範囲を調査発表しているが、温度上昇の範囲に関して言っていることはデタラメ。
- 海にも大気にも放射能による汚染は拡散しており、近いほど影響が生じているはず。
- 例えば、周囲の桜の花びらに異常が発見される率が他の地域に比べ高い、原発設置時期と相関のある年代の医療費が全国平均と比べると突出して高い等が確認されている。
4.何ができるのか
- とにかく原発を作らせない、稼働させないという働きかけをしていくしかいない。
- 自然エネルギーの普及を阻害している制度上の問題が多々ある。
- 総括原価方式ではコストが高い方が利益が大きくなる。発送電分離をすれば自然エネルギーを提供する事業者がもっと増えるはず。消費者が自然エネルギーを選択的に購入するようにすればよい。
- メガソーラーは制度的に収益が保証されているので多くの事業者が取り組んでいる。
- 風力はなかなか普及しないが可能性があると考えている。
- 家畜ふん尿や木質燃料といったバイオ燃料も期待したい。
- 地熱は温泉への影響が心配だが、その点をクリアできれば。
- いずれも地場の資本が少ない。地元の事業者の取り組みがもっと進んで欲しい。
- エネルギーの買い手まで見つかっても、景観ガイドラインの問題で頓挫したケースもある。
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