平成24年3月十三会例会

●例 会 内 容

日時

2012年3月13日(火曜日)PM7:30

1.講演

「“TPP”って何?」

講師:菅井 憲郎(のりお)氏

(社)さくら創研 代表理事

講師近影
●内容
以下内容にてご講演いただきました。

どのような、内容か
  • 環太平洋経済連携協定=太平洋沿岸国の経済取引に関する取り決め
  • 目的は参加国間の障壁を無くすこと。障壁には関税(産業保護)と非関税障壁(安全基準等)がある。
  • 分野は21分野あるが全部は公開されていない。貿易はその1つでしかない。
  • 貿易(モノ・サービスの移動自由化)だけでなく、経済全体(人の移動も含まれる)の障壁をなくすことを目指している。
  • 例外も認められている。
  • 極端に推し進めた一つの姿がEU。経済の仕組みが大きく変わるのは間違いない。
これまでの参加国と経緯は
  • 当初4カ国(P4)からスタート。(ニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイ)
  • その後拡大し、9カ国で交渉中。(+アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシア)
  • 昨年日本を含めた3カ国が新たに参加表明(日本、カナダ、メキシコ)
FTA、EPAとの違いは
  • 2国間で障壁をなくすための取り決めがFTAやEPA
  • 2国間なので相互の力関係で条件が左右されるものの、影響が読みやすい。
  • FTAが貿易のみでEPAが経済全体を含むため、TPPは多国間に拡大されたEPAと見なせる。
  • 各国で相互のFTA、EPA締結が進展していくと、2国間である意味が薄れていく(直接締結がなくても締結国間で迂回可能)。
これまでの日本の貿易政策は(第二の開国というが)
  • GATTによる多角的貿易体制からFTA、EPA等の地域グループに転換
  • 日本もアジアの多くの国々とFTA、EPA締結済み(開国は進んでいるのでは?)。
TPP参加の効果は
  • 各省庁の所管分野によりプラス効果とマイナス効果の双方が予測されている。
  • ただし、対象分野も全ては公開されておらず不明点も多い。
  • 輸出が増大するとの見方があるが、現在輸出の多くを占める中国、韓国はTPPには不参加。
  • 現在高関税の農産物へのマイナス影響は大きい(鹿児島なら牛肉、砂糖など)
  • 範囲が不明なため、安全上の規制や国内制度への影響が見えない。
なぜ、今、TPPか
  • 政府は「開国の必要性、活発なアジア経済、乗り遅れないため」というが
  • 現在の平均関税率、各国との貿易量、交渉長期化をみると疑問。
  • アメリカからの誘いの影響は大きい
アメリカのTPP参加の意図は、ドコにあるか
  • 経済、政治、外交など多方面での効果を期待している。
  • 東アジアは世界的にみて政情も含め安定的な経済発展が見込める地域。
  • 中国への政治的プレゼンス
中国、韓国は、ナゼTPPに参加しないのか
  • 中国:国際基準を満たせない。産業保護、通貨保護、東アジアでの主導権
  • 韓国:アメリカとのFTA締結だけで十分、日本との自由化はデメリットが大きい
今後の課題は
  • メリット・デメリットがはっきりしないため、自身のビジネス、地域への影響を見極めて備える必要がある。
  • たとえば鹿児島に影響の大きい農産物へのマイナス影響により地域の産業自体がダメになることで、地域そのものがダメになってしまうことも考えられる。
  • 今後日本が参加するにせよ、離脱するにせよ、経済への大きな影響があることは間違いないので注視していくべき。
質疑応答
  • ライセンス(資格)の共通化とかも考えられるか?
    =>想定されている。当然参加各国の思惑もあり、メリット・デメリットがあるのでビジネスチャンスとしてどう活かせるのか注視していく必要がある。
  • 安全基準等も例外にできる?
    =>全参加国の同意が得られれば可能。基準も同一である必要はなく、A国の基準は○○、B国の基準は△△のように異なっても良い。すべては交渉次第。
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