平成23年7月十三会例会

●例 会 内 容

日時

2011年7月13日(水曜日)PM7:30

講演

演題:
「原子力発電を取り巻く情勢について」

講師:鳥居 幸治 氏
      九州電力株式会社 鹿児島営業所 副所長

講師近影
●内容
まず、講演が始まる前に『会社ぐるみの、やらせメール』の件について、陳謝されました。

震災による被害の概況
  • 2011年3月11日 午後2時46分 三陸沖 深さ 24Km マグニチュード9.0 震度7
    宮城県栗原市を始め多数の被害が発生しました。
  • 福島第一原子力発電所も、地震と津波により多大な被害を受けました。
  • 原子力発電所における事故防止の手立ては『原子炉を止める』、『原子炉を冷やす』、『放射性物質を閉じ込める』の3つの段階があります。
  • 福島第一原子力発電所が事故に至ってしまったのは次のような経緯によるものです。
    『原子炉を止める』・・・成功
    地震により運転中の原子炉は制御棒が作動し自動停止しました。

    『原子炉を冷やす』・・・失敗
    外部電力や非常用発電機の機能が喪失し、海水ポンプが使用できなくなり、原子炉や使用済燃料貯蔵プールを冷却できなくなりました。
    それが原因で原子炉にある燃料棒が損傷してしまいました。

    『放射性物質を閉じ込める』・・・失敗
    燃料棒が損傷することで、それを覆うジルコニアが酸化して水素を発生し、それにより水素爆発が起こり原子炉の建屋が損壊してしまいました。
    これらにより放射性物質が外部に放出することとなってしまいました。

  • 『原子炉を止める』、『原子炉を冷やす』の両方が成功していれば、1日か2日で完全停止ができていたと思われます。
事故への対策見直し
  • 事故発生を受け、3月30日、国から次のような指示がありました。

    「津波により3つの機能(全ての電源、海水冷却機能、使用済燃料貯蔵プール冷却機能)を全て失ったとしても、原子炉内の燃料や使用済燃料の損傷を防止し、放射性物質の放出を抑制するために、原子炉及び使用済み燃料貯蔵プールの冷却を維持すること。
    そのために緊急対策を実施すること。」

  • これに対して九州電力として次の対策を行いました。

    1. 電源の確保・・・高圧電気車の配備(各原子炉に一台)、外部電源復旧対策の実施
    2. 冷却水を送るポンプの確保・・・仮設ポンプ・仮設ホースの配備、
      重要機器があるエリアへの浸水防止対策。川内は波高15mまで防止可能
    3. 冷却水の確保・・・水源の確保

  • 4月8日から4月12日に、緊急訓練を行い5月6日には国より適切であると評価を示されました。
現在の電気の需要と供給について
  • 原発停止により不足する電力は火力発電にて補う必要がありますが、課題は燃料調達です。

    去年の最大使用量    1669万キロワット
    燃料調達がうまくいった時の最大供給量    1728万キロワット
    燃料調達がうまくいかなかった時の最大供給量    1220万キロワット

  • 原発稼働が再開されないと、苦しい状況であると考えています。

質疑応答
  • 川内原発は、今回のような地震が来ても大丈夫なのか?

    =>川内と福島の原子炉は、構造がまったく異なります。
          まず福島で起きた水素爆発については、原子炉格納容器が福島のものは小さく、
          水素が容器内いっぱいになったため起きていますが、川内のものは、全て熔けて
          水素が発生しても満タンにならないように大きく作られています。
          使用済燃料プールなどは、川内の場合道路より低い所にあるので、もしもの場合でも、
          ポンプ車など使わなくても水を入れて冷やすことが出来ます。
          その他にも、大容量発電機車やポンプの増設、防水対策などを進めていきますので
          同様の事故発生は防げると考えています。

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